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酒田市に石井製作所という農機具の会社があります。
その会社の前の社長さんが石井梅蔵という人で、すでに亡くなった方だそうですが、
ずいぶんと素晴らしい方だったそうなのです。
それは、農機具の発明や商品開発のチカラや、事業家として素晴らしかったそうなのですが、
50代半ばに失明して全盲となってからがまた素晴らしいのです。
不意の事故が原因で光を失った彼は絶望し、死ぬことをも考えます。
しかしそれを踏みとどまった彼は、頭の中にある残像や、じぶんの手をたよりに、
ひとりでものづくりを始めるのです。木工細工、竹細工、人形…
やがて彼の精巧なその細工の素晴らしさは、世の中に認められていき、
その作品を天皇陛下に天覧され賞されるのです。

石井梅蔵記念館は、その梅蔵氏の作品を展示したちいさなミュージアムです。
眼の見えない人が作ったものとはとても思えない作品がならんでいますが、
そのひとつひとつに眼には見えないエネルギーが宿っているようで、
なんだか大きな勇気をもらいました。
五重塔などの精密な竹細工はたしかに立派でしたが、
私は写真のような、丸みを帯びた優しい農作業人形が、
なんともいえず可愛らしく気に入りました。

日本文化財の縮小建築物、童話、戯画動物の彫刻など全五十余点。
人生56歳で完全失明、一級盲人となり生と死の間を彷徨いながら、己の生きる道を之の作品造りに一生をかけた。その鬼気迫る作品群は、天覧を仰ぎ、黄綬褒章を戴き、叙勲を受けた。
この記念館は石井梅蔵の日本で唯一の展示館で、人間の恐るべき執念と、知恵と集中力で第二の人生を生き抜いた人の記念館であります。(石井梅蔵記念館パンフレットより)



2015.2.7  Mikio Soramame